フルカラー印刷って何?
こんにちは!ポリするの門田です。
今日は多色刷りの最たるものである「フルカラー印刷」について説明していきます。
これからカラフルな印刷をしたい、という方はぜひ一度参考にして頂ければと思います!
印刷方式によっては下記のご説明が該当しない場合もございます。予めご了承下さいませ。
目次:
- ①フルカラー印刷って?
- ②CMYKって?
- ③版ずれってなんだ?
- ④紙焼きってなんだ?
- ⑤最後に
①フルカラー印刷って?
フルカラー印刷とは、「1色印刷」や「2色印刷」に対して、文字通りフルカラーでの印刷を指します。
具体的には、「C」「M」「Y」「K」4色の重ね合わせで、フルカラーで見えるような印刷を指します。
小判抜きのページにてご説明している こちら も フルカラー印刷です。
②CMYKって?
グラビア印刷でのフルカラー印刷には「CMYK」が用いられます。
それぞれ
C:cyan(シアン=青)
M:Magenta(マゼンタ=赤)
Y:Yellow(イエロー=黄)
という三原色を表しています。
そしてKはKuro(黒)のKです。
…勿論、嘘です。
俗説では「BLAC”K”(語尾を取った)」とか「Key plateの略」であるなど言われおりますが、根拠薄弱なためここではコメントは差し控えます。
大切なのは、K=黒、ということです。KuroのK というの一番覚えやすいので…。
(余談ですが、印刷や製造では黒のことを「墨」と呼ぶことがあります。)
色の三原色+黒の4色を重ね合わせることによって、4色以上の色を表現する。
それが「フルカラー印刷」なのです。
色の三原色があれば「黒」も表現できるのだから、わざわざ黒を用意する理由がわからない、という方もおられるかと思います。
わざわざ黒を用意する理由。それは「版ズレ」にあります。
③版ズレってなんだ?
フルカラー印刷が「色の重ね合わせ」で表現されている、というのは先程ご説明したとおりです。
例えばテレビも小さな色のついた点(画素/ドット)が大量に敷き詰められて画像を表現している、というのはご存知のことかと存じます。
テレビとグラビア印刷の違いは、「テレビは3色同時に光らせる」「グラビア印刷は1色ずつ印刷する」ということです。
グラビア印刷のフルカラーの場合「まずイエロー(黄)」「次にマゼンタ(赤)」「シアン(青)」「最後に黒」というように、1色ずつ順番に印刷を行っていきます。
そのように色を重ね合わせていくのですが、ポリ袋は「熱で縮む」「引っ張ると伸びる」などで、印刷途中にも若干変化が発生してしまう場合があります。
例えば、青の印刷を施す前と、赤の印刷を施す前では、印刷を1回している分で印刷機のテンション(引っ張り)が発生するため、全く同じとは行きません。
これによって発生するのが「版ズレ」です。
赤と青を100%同じ位置印刷することは出来ないため、変化してしまった分、若干色がはみ出してしまうのです。
こちらは、上で例に上げた小判抜き袋です。
こちらを拡大すると…
このように端の部分に赤・青・黄色が出てきているのが見えます。これが「版ずれ」です。
もしも黒印刷を全て3色重ね合わせで表現すると、全ての黒印刷に版ズレの可能性が存在してしまいます。
上記のように、イラストなどのデザインであれば全く気にならないのですが、
黒色は文字に用いられることも多く、僅かなズレが可読性を損なう可能性がございます。
(例えるなら、調子の悪いブラウン管テレビのように見づらくなってしまいます)
そのため、黒印刷は重ね合わせではなく黒単色で行われる、というわけです。
また、版ズレを防ぐために「墨取り」という処理を行うこともあります。
文字などの周囲(縁)を黒く印刷することによって、版ズレを墨で塗りつぶし、なかったことにしてしまう方法です。
(例示の小判抜き袋も、文字の周りが黒く縁取られているのが見てとれます。)
版ずれを可能な限り防ぎ、目立たないようにするため、この様なテクニックが用いられています。
※ちょっと専門的な話…
フルカラーでの印刷濃度ですが、【黒は30% それ以外は25%】を最低濃度として設定しております。
(それよりも薄くなると、印刷掠れが発生してしまうため)
フルカラー印刷をお考えの際には、ご留意下さいませ。
(一度こちらで確認することも可能です。詳細は御相談いただけますと幸いです。)
④紙焼きってなんだ?
特色印刷(フルカラー印刷でない印刷)の場合、DICやPANTONE といった、インクメーカーの色の番手からのご指定、
あるいは既に存在するチラシやパンフレットの現物を見本にして色を合わせていきます。
ただ、フルカラー印刷の場合番手ではなく色の重ね合わせですので、「実際にどの様な色になるのか」イメージが難しいのが一般的です。
(パソコンやスマートフォンなど、ディスプレイでのご確認は、明度や光度といった画面設定で簡単に変わるため、安直には信用できません)
また、印刷濃度の調整や墨取り処理などを行う必要もあるため、入稿いただいたデータからイメージが変わる場合もございます。
そのため、フルカラー印刷の場合には簡易校正として紙焼き(青焼き)をお送りすることがございます。
紙焼きとは袋の原寸大の紙に印刷された印刷見本のことです。
ディスプレイではなく実際にある紙媒体でご確認頂くことによって、なるべく正確に実際のものをイメージして頂くことを目的としております。
⑤最後に
ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。
フルカラー印刷は通常の印刷に比べ製造が難しく、お値段も上がりがちな仕様です。
その分、製造前の入念な下準備や、お客様と弊社(メーカー)での認識に差異がないか、ひとつひとつ確認していくことが大切です。
フルカラー印刷へのご理解の一助となれば幸いです。
他に御不明点がございましたら、弊社お問合せフォームから御連絡いただけますと幸いです。